宿命とも天命とも言えるものである。
何故なら最初はカリキュラムの中に組み込まれていた事で、やらざるおえないものとして嫌々な何年間かがあった。
でも気がついたら30数年の間、私自身の生活の糧となり、又、心の救済場としていつも私の側に寄り添ってくれていた。
思う様に動くこととも違う。
思わなくとも身体がその様(どの様?あるがまま)に反応して、身体が動きを楽しむ邪魔をしない様に脳を働かせない事。
頭でコントロールしないコントロール。
どっぷりイメージの中に浸りながらも、見えない極めて薄く細い意識の糸で操っている操り人形が如く。
どっぷり浸るも、あたかも幽体離脱して客観的に動いている自身を観察するが如く。
例えそれが決められた振付であっても同じ!
いかにその瞬間を生きたものにするかが大事。だと思う。
マスゲーム的な面白みも、音とのコンビネーションの面白みも、ドラマチックな演出振付の面白みも、
技術の伴ったダンサー、コレオグラファーにおいては素晴らしい芸術的なエンターテイメントとなる。
これを極めることも私は好きだ。
勿論その時も常に自分の身体がそこにある。
が演出がいる舞台は極力演出の演出意図に合わせて動くのもダンサーとして又楽し。
コンセプトを元に作品を作る場合、コンセプト重視であり、その中で嘘のない身体を探す作業をする事になる。
結果的にはそのコンセプトを見せるものではなく、その中でどう身体が変化し反応したのかを見ることが楽しいのである。
身体を見せることも、それを主張するならそれも一つのコンセプト。
そこからも言える様にコンセプトのない作品はないと言ってもいいのかも知れません。
コンセプト(事物の本質をとらえる思考の形式、簡単に言えば全体の元となる大まかな考え方)
ただコンセプトが一人歩きして、ただただアイディアの断片を羅列している作品は、私は面白いとは感じられない。
世間一般にかっこいいと言われるダンスを、カッコつけて見せつける様なダンスは昔から毛嫌いしていた。
例えば、学生時代。
陸サーファーと言われる格好つけるだけの奴が、赤いファミリアハッチバックに乗っているのを見ると虫唾が走る思いがあった様なもの。
又は、本人はヘタレ(弱虫)なのに、ヤンキー達とつるみ、あたかも俺は強いんだぞと言わんばかりに、
肩を並べてたむろしている輩の様な。(本当に強い奴はつるまない)
こういう輩と同じに見えてしまうのである。
だから最終的には、その当時誰も知らない得体の知れないコンテンポラリーと言われるものに惹かれて行ったのだと思う。
おそらく自分が意識してやりたいと思う事は嘘のない生身の自分、飾り気のない素直な自分を自分で見たい感じたいのだと思う。
そこにはまだ自分では認識出来ていない知らない自分が潜んでいるのかも知れないという未知への興味がある。
例えそれがえげつないものであってもだ。
それが見えたところでそれがどうしたと言われればそれまでだが。
社会に生きるという事は、他人の目にいつも晒されているという事、でも他人がいつも自分を見ている事はない、
が何処かでその現場、現状に合わせようとしている自分がいる。
それが社会に生きるという事だと思っている。
せめて舞台という非日常の場では、そう(社会の秩序に従順)ではないものをやりたいと思うのである。
そこで観るものはむき出しの感覚を追体験する事で、自分の中に潜む野性(潜在的知性「叡智」)が存在する事に気づければ、
演る側もそれが嬉しいのである。
その為に踊っていると言っても過言ではない。
演る側も、それがある事に気づいてはいるが、まだ確証を持っているものは少ない、私もその中の1人である。
人は簡単に立ったり歩いたり普通に何の意識もなく出来てしまうが、実はそうではなく大変な事をしているのである。
ロボットを自立させて歩かせるまでにどれだけ莫大なる時間と費用を費やした事か(すいません詳しくは知りませんが)。
人間の赤ちゃんも立つまでに約1年はかかります。普通に歩き出すのはそれからまだ1年ぐらいかかります。
いやもっとみじかに言えば、怪我や病気をした時、まともに立てない、普通に歩けない自分に何度落胆した事か。
それを鑑みると立つ歩くという行為は何て貴重で素晴らしい出来事なんだろうと思わずにはいられません。
ましてや踊るなんて。
歩くだけで。
走る事で。
飛ぶ事で。
地面に這いつくばる事で。
それ自体がすごい事なのだと思います。
そういう観点からすると、これらの事は全てがダンスなのだと言えるのかも知れません。
初!書籍出版 2022年3月15日発売 『段々ダンス!』
ダンスと無縁の世界にいた普通のサラリーマンの子どもが、何故数多い職業の中から興味のなかったダンスを選ぶ事になったのか。自分にとってダンスとは何ぞや、と問い、自分流のダンス論と動きを見つけだし身に付けていった。段々ダンスに魅了されていく人生をエッセイ風に書き綴った一冊。(Amazonページより抜粋)
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